この記事でわかること

  • 就業規則へ「処分の対象となる行為」や「処分の内容」の明記が必要
  • 解雇予告が必要である
  • 処分の対象行為に対して処分の内容が重すぎる場合は無効となる

懲戒解雇を行う前に確認するポイント

懲戒解雇処分とは

懲戒解雇処分とは、従業員が極めて悪質な規律違反や非行を行ったときに、懲戒処分として行う解雇のことを言います*1。

労働契約法第15条(懲戒)及び第16条(解雇)の両規則が適用となります*2。

懲戒解雇処分を行うためには、就業規則や労働契約書に、どのような場合に懲戒解雇となるかの要件について具体的に記載しておく必要があります*1。

懲戒解雇の場合も解雇予告が必要である

懲戒解雇処分の場合も、通常の解雇と同じように労働基準法第20条の適用となります。

つまり少なくとも30日前に解雇の予告をするか、解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。

ただし、懲戒解雇の理由が「事業場内における盗取、横領、傷害などの刑法犯に該当する行為」など労働者の責に記すべき理由であった場合は、労働基準監督署長の認定を受けることで、解雇予告が不要となります。

懲戒解雇を行う時に気をつけたいポイント3つ

✓就業規則に「処分の対象となる行為」や「処分の内容」が明記されているか

懲戒解雇を含め、解雇を行うためには、就業規則と労働契約書(労働条件通知書)に、どんな時に解雇されることがあるか、処分の対象となる行為(解雇事由)と処分の内容(懲戒罰)をあらかじめ記載しておくことが必要です。

これがない場合は、解雇権の濫用として無効となります。

また、就業規則に明記されていたとしても、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められなければ、やはり解雇は無効となりますので気をつけてください*1。

✓行為に対して処分の内容が重すぎる場合は無効となる

就業規則に明記してあったとしても、従業員が行った行為に対して処分の内容が重すぎる場合は、解雇権の乱用として処分は無効となります。

例えば「商品を壊した」「服装がだらしない」などといった理由だけでは、懲戒解雇処分はまず認められません。

✓裁判沙汰になる可能性がある

懲戒解雇処分は、従業員に対するものとしては最も重い処分です。

従業員側としては、解雇されれば直ちに生活が立ち行かなくなります。したがって、解雇が無効であることや慰謝料などを求める裁判を起こされるケースが後を経ちません。

裁判を起こされた場合、懲戒解雇処分が妥当であることの立証責任は使用者側にあります*3ので、懲戒解雇を行う際には、懲戒処分に相当すると考えられた従業員の行為や処分について社内で検討した結果などをきちんと記録に残しておきましょう。

まとめ:懲戒処分の判断は慎重にすべき

以上、懲戒解雇処分についての基礎知識と懲戒解雇処分を行うにあたり気をつけたいポイントを簡単にまとめました。

懲戒解雇処分は非常に重い処分であり、対応を誤ると裁判沙汰になりかねません。

残った従業員との関係性を保つためにも、無用なトラブルを避けるためにも、解雇を検討する際には、今一度しっかりとご検討ください。


参考:

*1 東京労働局 しっかりマスター労働基準法 解雇編

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/seido/kijunhou/shikkari-master/pdf/kaiko.pdf

*2 中央労働委員会:集団労使紛争の調整事例と解説

https://www.mhlw.go.jp/churoi/assen/dl/jirei31.pdf

*3  厚生労働省鹿児島労働局 Q8 このたび労働者を就業規則の規定に基づき懲戒解雇にしようと思っています。解雇予告は必要でしょうか。

https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/qa07/0704.html

確かめよう労働条件 6-2 「懲戒」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性

https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/kaiko/choukai.html