この記事でわかること

  • 医師は宿日直体制を採用し、看護師は夜勤体制を採用している医療機関が一般的である

小学校就学未満の子供を養育する従業員・要介護状態の家族のいる従業員は、従業員が請求した場合、深夜業が制限される

妊産婦においても、従業員が夜勤免除を請求した場合、深夜業をさせてはならないとされている  

夜勤とは

夜勤とは一般的に夕方出勤し、翌朝退勤する勤務シフトで、夜間帯に医院が求める労働の提供をすることです。多くの場合、医師は宿日直体制を採用し、看護師は夜勤体制を採用している医療機関が一般的です。

病床のある医療機関は、患者様が夜間に体調の変化を起こすこともあり得ることから、交代制勤務を採用し、各病棟の責任者が各日に日勤者、夜勤者などを割り振り、シフトを組みます。各従業員は、そのシフトに基づき労務の提供をし、医療機関として社会的な役割を担っています。

夜勤の免除対象者

夜勤の免除対象となる従業員は、下記の3つのパターンが想定されます。

  • 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員
  • 要介護状態にある対象家族を介護する従業員(日雇いの従業員は除く)
  • 妊産婦(妊娠中の女性及び産後1年を経過していない女性)

育児介護休業法第19条および20条により、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員と要介護状態にある対象家族を介護する従業員(日雇いの従業員は除く)については、

従業員が夜勤免除を請求した場合、深夜業の制限がかけられます。

仮に請求があった場合には、深夜(22時から翌朝5時)に労働させてはいけません。

尚、請求時期については制限開始予定日の1ヵ月までとされており、1回の請求につき1ヵ月以上6ヵ月以内の期間が含まれるとされます。尚、制限終了日の1ヵ月前までに請求することで、更新も可能とされています。

尚、医院は従業員が深夜業の制限を請求したことを理由に不利益な取扱いをしてはなりません。

また、妊産婦においても、従業員が夜勤免除を請求した場合においては、労働基準法第66条にて深夜業をさせてはならないとされています。  

労働基準法上の管理監督者にあたる看護師であっても、深夜の制限は適用されるため、請求があった場合には深夜業を命じることができません。

暦日の考え方


夜勤の場合、日をまたいで勤務が継続するのが通例です。労働法制上、日をまたいだ午前0時以降の勤務は「始業開始時刻の日」の勤務として扱われます。

夜勤時の休憩時間

休憩時間については労働時間が6時間を超え8時間までは少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間付与しなければなりません。 

夜勤は宿日直とは異なり、「労働時間」としてカウントしなければなりませんので、多くの場合、1回の夜勤では6時間を超えることから、休憩がない夜勤は労働基準法違反となります。

また、休憩とは労働からの解放が保障された時間でなければなりません。

例えば、仮眠中に何らかの対応要請があればその要請に対して対応が求められている場合、労働からの解放が保障されているとは言えません。すなわち、形式的には休憩時間と整理していても、実質的には休憩時間とされず、将来的にそれらの時間分の賃金請求をされるリスクがあるということです。 

医院においては、 研修医や看護師が手術を待っている間などの「手待ち時間」の解釈についても問題となります。手待ち時間は、結論としては労働時間に区分されます。

労働からの解放が保障された休憩時間とは明らかに性質が異なり、何らかの環境の変化(例えば患者様が手術室に運ばれてきた)があれば、その変化に応じた対応が求められているからです。

割増賃金について

夜勤の場合、22時から翌朝5時までの間における深夜帯に業務があることから、この時間帯に勤務している従業員には、深夜割増賃金を支払わなければなりません。尚、割増率は、25%以上となります。

また、法定労働時間(1日8時間以上)を超えたとき、時間外労働手当として25%以上の割増率を支払わなくてはいけません。

もし、従業員が法定労働時間を超えて深夜労働に入る場合は、時間外労働手当と深夜手当との割増率を合算する必要があります。

割増賃金計算例

極端な例ですが、以下の例を確認しましょう。

【例】

所定労働時間:9時~17時

休憩時間:12時~13時

業務開始:9時

業務終業:翌朝9時

17時~18時の割増率

労働基準法上の割増は不要です。理由は、8時間以内の労働であることから、法律上割増が義務とはされません。もちろん法律を上回る規定を作成し、割増賃金を支払うことは問題ありません。

18時~22時の割増率(時間外労働手当)

8時間を超えた後の労働になることから、25%以上の割増が義務となります。

③22時~翌朝5時の割増率(時間外労働手当+深夜手当)

50%以上の割増が義務となります。内訳として、8時間超の割増率25%以上、22時~翌朝5時までの深夜割増率25%以上を合算して、50%以上となります。 

④5時~9時までの割増率(時間外労働手当)

18時~22時までの割増率と同様に25%以上の割増が義務となります。理由は、18時~22時までの割増率と同様の理由です。

尚、「以上」としているのは、例えば、8時間超の労働に対しての割増率25%以上の場合、「25%」が、最低基準であり、それを超える率を定めること自体は問題ないという理屈です。

まとめ

夜勤については医院特有の労務管理体制であり、それだけでなく、賃金計算も非常に複雑です。判断に迷う際は、専門家へ相談するなど、早期の対応が適切です。