この記事でわかること

  • 2022年より傷病手当金の支給日数が「支給を開始した日から通算して1年6ヵ月」となる
  • 法改正後は、労務不能期間の間に出勤できた日があってもが支給期間にカウントされない
  • 2021年7月2日以降の傷病手当金については改正後が適用される

より柔軟な所得補償の為の「傷病手当金の改正」

疾病や負傷などの治療と仕事の両立を考えて、より柔軟な所得保障ができるよう健康保険法等が改正されました。

この健康保険等の改正が、2022年1月1日から施行された「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」です。

この改正により変更となった傷病手当金の支給期間について、様々なケースごとに考えていきます。

傷病手当金とは?

傷病手当金とは、健康保険の被保険者が業務外の病気やケガで休業している場合に、健康保険から支給される手当金です。

傷病手当金は、以下の条件をすべて満たした場合に支給されます。

①業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

②仕事に就くことができないこと

③連続する3日間(待機期間)を含み4日以上仕事に就けなかったこと

④休業した期間について給与の支払いがないこと(但し、傷病手当金の額よりも少ない給与の支払いがあった場合にはその差額が支給される。)

傷病手当金の1日当たりに受給できる金額は、以下になります。

支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)

傷病手当金は、協会けんぽや健康保険組合などの健康保険加入者が対象です。

医師国保や歯科医師国保などの国民健康保険は、任意給付になりますので国民健康保険によって取り扱いが異なります。

傷病手当金の支給される期間

2022年1月1日からの健康保険等の改正により、傷病手当金の支給される期間が変わりました。

【改正前】2021年12月31日以前の傷病手当金の支給される期間

支給を開始した日から最長1年6ヵ月

以下のケースは、改正前に傷病手当金の申請があった場合の支給満了日と支給日数の例になります。

上記のケースでは、令和2年3月1日から3日までの3日間が待期期間になります。

そのため、令和2年3月4日が傷病手当金の支給開始日となり、支給満了日は令和3年9月3日、支給日数は529日です。

 【改正後】2022年1月1日からの傷病手当金の支給される期間

支給を開始した日から通算して1年6ヵ月

以下のケースは、改正後に傷病手当金の申請があった場合の支給期間と支給満了日と支給日数の例になります。

上記のケースでは、令和4年3月1日から3日までの3日間が待期期間になります。

改正後は支給開始日から通算するため、出勤日はカウントされません。

そのため、令和4年3月4日が傷病手当金の支給開始日となり、支給期間は令和5年9月3日までの549日間、支給満了日は令和5年9月23日、支給日数は549日です。

すでに傷病手当金を受給している従業員はどうなる?

この改正により、今まさに傷病手当金を受給している従業員は、法改正の適用対象となるのでしょうか?

この場合の対応については、健康保険法の改正により以下のように規定しています。

  1. 施行日の前日において、支給を始めた日から起算して1年6ヶ月を経過していない傷病手当金について適用する。 
  2. 支給期間が満了した傷病手当金については、従前の例が適用される。

即ち、支給開始日が2021年7月2日以降の傷病手当金については改正後が適用され、支給開始日が2021年7月1日以前の傷病手当金については改正前が適用されることになります。

複数の疾病等について、同じ期間に傷病手当金の支給が行われるケース

傷病手当を受給している従業員が、手当の原因とは関連性のない新たな別の疾病により労務不能となった場合は、受給している傷病手当金とは別の傷病手当金が支給対象になります。

【法改正前】複数の傷病手当金が支給されていた場合

それぞれの傷病手当金の支給開始日が異なりますので、1年6ヶ月後の支給満了日もそれぞれ異なります。

両方の傷病手当金が重なった期間は、両方の傷病手当金が支給されたと解されますが、受給できるのは1日当たりに受給できる金額だけです。

最初の疾病による傷病手当金が支給満了日まで支給された後に、次に発症した疾病による傷病手当金を支給満了日までの残りの期間支給されることになります。

【法改正後】複数の傷病手当金が支給される場合

それぞれの傷病手当金の支給開始日が異なりますので、1年6ヶ月後の支給期間もそれぞれ異なります。

また、両方の傷病手当金が重なった期間は、両方の傷病手当金が支給されたと解されますが、受給できるのは1日当たりに受給できる金額だけなのも法改正前と同様です。

但し、両方の傷病手当金が支給されたと解された期間は、傷病手当金が支給された日数分だけ、それぞれの傷病手当金の支給日数も減少することになります。

即ち、最初の疾病による傷病手当金が支給日数分支給された後に、次に発症した疾病による傷病手当金が残りの支給日数分支給されることになるのです。

【法改正後】資格喪失後の継続給付の取扱い

退職などにより被保険者でなくなった(資格喪失)後においても、一定の条件のもとに保険給付が行われます。

資格喪失後の傷病手当金の継続給付は、健康保険法第104条で以下のように規定されています。

「その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。」

そのため傷病手当金の改正後も、法改正前と同様に継続して傷病手当金を受給することができます。

但し、一時的に労務可能となった場合には、治癒しているか否かを問わず、同一の疾病等により再び労務不能となっても傷病手当金の支給は行わないとされています。

まとめ

年次有給休暇の取得は、従業員の心身の疲労の回復、生産性の向上などの効果があり、従業員だけではなく

このように、2022年1月1日から健康保険等の改正により、傷病手当金の支給期間が変更になりました。

従業員の傷病手当金についての疑問等については、是非一度、プロである社会保険労務士にお気軽にお問い合わせください。

参考:

厚生労働省保険局保険課

「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&Aの送付について」

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T211115S0010.pdf