この記事でわかること

  • SNSの利用について制限を設けるための誓約書を、従業員との間で取り交わすことも考えた方がよい
  • 入社する従業員に前職がある場合は、前職の給与所得等の源泉徴収票も提出の必要
  • 2022年4月から年金手帳は廃止されるため、従業員の入社時にはマイナンバーを確認する必要がある

従業員が入社した際に行わなければいけない手続き

医院に新しく従業員が入社する場合、様々な手続きが必要です。

手続きの中には、社会保険や雇用保険、所得税や住民税などの社外的な手続きだけでなく、社内的にもしておかなければならない手続きがあります。

特に、社外的な手続きについては、期日までに行わなければならないものが多いため、細心の注意が必要です。 

従業員に提出してもらう書類

従業員が入社して手続きを行うためには、従業員から様々な情報の入手が必要です。

そのため、従業員には、入社時に以下の書類を提出してもらう必要があります。

提出書類の中には、社外的な手続きに必要な書類と、社内的な手続きだけに必要な書類に分けることができます。

社内的な手続きに必要な書類

・通勤費の申請書(通勤経路) 

通勤費の支給が就業規則や賃金規程に定義されていた場合は、通勤費の支給義務が発生します。 

しかし、労働基準法では通勤費の支給を義務付けてはいないため、就業規則や賃金規程に定義されていない場合は必ずしも通勤費の支給をしなくても問題ありません。

医院が通勤費を支給する場合には、申請書に通勤経路や通勤費を記載してもらう必要があります。

・誓約書(SNSや秘密保持契約書など)

今の時代、医院に対する従業員のSNSによる不適切な書き込みなどにより、トラブルを起こすこともあります。 

また、医院にとって、信用毀損などの被害を受ける可能性も考えられます。 

このようなトラブルや被害を起こさないことや、秘密保持のためにも、SNSなどの利用について制限を設けるための誓約書を、場合によっては従業員との間で取り交わすことも考えた方がよいでしょう。

・雇用契約書

雇用契約書とは、院長と従業員との間で労働条件などを明確にするために交わす契約書のことです。

基本的には、勤務時間や休日や給料などの労働条件が書かれています。

・資格証明書 

資格手当などを支給している場合は、必要であれば資格証明書の提出を求めます。

・その他医院の規定によって必要な書類

その他、医院にとって必要な書類があれば、提出を求めます。

社外的な手続きに必須な書類

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

 所得税の源泉徴収簿を作成して源泉徴収額を決定するために、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出が必要です。

 この申告書の記載内容から、給与計算に必要な情報も確認できます。

・雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入している証明書で、前職で雇用保険に加入していた従業員のみ提出の必要があります。

新卒などの雇用保険に加入していない従業員は、雇用保険の新規加入手続きが必要になります。

雇用に加入要件は以下のどちらも満たす場合です。

①週の所定労働時間が20時間以上であること 

②31日以上の雇用が見込まれること

 雇用保険被保険者証を従業員が紛失していた場合、管轄のハローワークに依頼をします。

・マイナンバー 

マイナンバーは、健康保険や厚生年金や雇用保険の加入手続きに使用します。

以前は従業員の入社の際には、年金手帳の提出が必要でした。 

しかし、2022年4月から年金手帳は廃止されることになったため、従業員の入社時にはマイナンバーのみを確認すれば事が足ります。

・前職の源泉徴収票 

入社する従業員に前職がある場合は、年末調整をする際に必要なため、前職の給与所得等の源泉徴収票も提出の必要があります。 

年末調整までに時間がある場合であっても、入社時に受け取っておく方がよいでしょう。 

従業員が前職の源泉徴収票を紛失していた場合、前職の総務や経理部に依頼します。

従業員が入社する時の手続き

従業員が入社する時には、入社のための手続きをしなければなりません。

入社手続きには、社内的に行う手続きと、社外的に行う手続きがあります。

(1)社内的に行う手続

・雇用契約書などの内容を説明する

雇用契約書は、院長と従業員の間で締結される重要な取り決めのため、明確に説明することが大切です。

・労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の法定三帳簿

労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の法定三帳簿は、労働基準法にて保管が義務付けられています。 

・給与計算ソフトや人事ソフトへの入力

新しく入社した従業員から提出された「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載された名前、住所、扶養親族などの個人情報を参照して、給与計算ソフトや人事ソフトへ入力を行います。

また、給料の振込先の銀行情報なども入力します。

・備品の準備

入社した従業員の机、椅子、パソコン、事務用品などの備品を準備しておく必要があります。

・健康診断

従業員の入社が決まった場合、事業主は入社前に健康診断を受診させなければなりません。

又は、その健康診断に相当する健康診断を従業員が個別に受けて、その結果を院長に提出しなければなりません。

この雇入時健康診断は、労働安全衛生法に規定された法定健康診断で、次のいずれかに該当する常時使用する従業員が対象になります。

  1. 期間の定めのない契約により使用されている
  2. 1年以上使用される予定がある
  3. 更新により1年以上使用されている

この場合の常時使用する従業員とは、所定労働時間数が通常の従業員の4分の3以上である従業員のことです。 

(2)社外的に行う手続き

・健康保険と厚生年金保険の加入手続き

加入手続きの期限目安:従業員の入社後5日以内

健康保険と厚生年金保険の社会保険は、法人事業所、もしくは従業員が常時5人以上いる法定16業種である個人事業所が加入対象になります。

加入手続きは、従業員の入社後5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を医院の所在地を所轄する年金事務所に提出しなければなりません。 

仮に5日を越えてしまった場合でも、社会保険の時効である2年間の期間内であれば、手続きは可能です。 

但し、出勤簿や賃金台帳や遅延理由書などの追加書類を求められることがありますので注意が必要です。 

また、健康保険の場合は、遅れた分、保険証の交付が遅れますので、従業員にもその旨を伝えなければなりません。

手続きが遅れた場合であっても、社会保険料は、入社日まで遡って徴収されます。

・雇用保険の加入手続き

 加入手続きの期限目安:従業員の入社後翌月10日まで

雇用保険の加入手続きは、従業員の入社の翌月10日までに、「雇用保険被保険者資格取得届」を所轄の職業安定所(ハローワーク)に提出しなければなりません。

加入手続きは、「ハローワークインターネットサービス」にて、電子申請することも可能です。

仮に手続きが遅れてしまった場合でも、雇用保険の時効である2年間の期間内であれば、手続きは可能です。

まとめ

このように、医院に従業員が入社する場合には、様々な手続きを行なわなければなりません。

手続きには、提出期限が決められているものもありますので、十分な注意が必要です。

医院に従業員が入社する場合の手続きについては、是非一度、プロである社会保険労務士にお気軽にお問い合わせください。