この記事でわかること

  • 休職には法律上の明確な定義がない
  • 休職制度がある会社の場合、就業規則によって内容が定められている場合が多い
  • 傷病休職の場合、医師の診断書を確認することが重要

従業員の休職手続きについて

休職とは

休職とは、従業員が何らかの事情で働くことができない場合に、

労働契約をそのまま継続しながら業務を免除もしくは禁止することをいいます。

休職には法律上の明確な定義はありません。

企業独自で導入する制度であるため、会社によって条件が大きく異なります。中には休職の制度自体がない会社もあります。休職制度がある会社の場合は、就業規則によって内容が定められていることが多いです。

休職と休業の違い

休職と休業の違いは、法律に定めがあるかどうかです。

休職は法律に定めのない制度ですが、休業は法律で定められた制度となります。

休業の例としては、産前産後休業や育児休業などがあります。

そのため休職の場合は、賃金の支払い・休職の期間など休職制度の内容や条件について、会社が自由に決めることができます。

しかし、休業制度の内容は法律によってあらかじめ定められていますので、会社が制度の内容を自由に決めることができません。

例えば、会社都合の休業に当たる場合、休業期間中は、平均賃金の60%以上を支払うというルールがあります(労働基準法第26条)。

また出産後8週間仕事を休むことは、法律上は休業にあたりますが(産後休業)、少なくとも産後6週間は、たとえ会社や従業員が就労を希望したとしても、当該従業員の就労が禁止されます(労働基準法65条2項)。

労働災害(労災)による休業の場合には、労働者災害補償保険(通称「労災保険」)から給付金が支給されます。業務による災害が原因の休業の場合は休業補償給付、通勤災害が原因の場合は休業給付と呼ばれます。

給与や手当支払いの有無

原則として、休職中の賃金支払いをどうするかも会社が自由に決められます。

例えば3か月から半年は賃金全額を支払ってくれるという会社もありますが、有給休暇を使い果たしてしまえば、あとは無給という会社が大半です。

傷病休職の場合、健康保険法に基づく全国健康保険協会(協会けんぽ)・健康保険組合に加入していれば、健康保険法第99条の定めに基づいて傷病手当金を受給することができます。

休職の種類と休職の主な理由

休職の理由により、主に次のように分類できます。さまざまな個人的事情での休職が考えられますが、いずれにせよ長期間仕事を休むということですので、その理由には妥当性が必要です。

私傷病休職

業務とは関係のないケガや病気により、長期間仕事を休む場合

自己都合休職

ケガや病気以外の理由(例えばボランティアなど)で、自己都合により長期間仕事を休む場合

公職就任休職

議員になるなど公職への就任のために休む場合

事故欠勤休職

私的な事故のために休むときには、事故欠勤休職となります。

例えば、刑事事件を起こし、逮捕・拘留のため長期欠勤をする場合にも適用されます。

起訴休職

刑事事件で起訴された人を一定期間休職とするもの

その他

出向休職、組合専従期間中の休職など

従業員が休職する際の手続きのポイント

医師の診断書を確認する

就業規則にもよりますが、傷病休職の場合には医師の診断書が必要です。従業員から休職の希望があっても、「なんとなく体調が悪いから休みたい」というだけでは私傷病休職を認めないのが一般的です。

医師の診断書を発行してもらうためには、まず医療機関を受診する必要があります。特にメンタル不調の場合は医療機関の受診をためらう従業員が多いですが、休職の許可を出すためにも、また本人の症状の悪化を防ぐためにも、早めに病院を受診してもらうことが大切です。

医療機関への受診については、就業規則に以下の項目を記載しておくと、後々トラブルに発展することを防げます。

  • 医療機関への受診を従業員の義務にする場合があること
  • 受診する医師・医療機関を指定する場合があること

また医師の診断書には、病名のほか、そもそも休業が必要なのか、必要な場合はどのくらいの休業期間を要するかなどについての記載を求めましょう。

国としての統一の規定はないため、就業規則など会社の取り決めが重要

そもそも休職制度については、これを義務とする法律上の根拠や定義がありません。つまり、国としての統一の規定はないため、会社ごとに設定した就業規則に則る形になります。

就業規則に定めておくべき内容は、休職制度の対象となる社員や休職できる期間、復職の可否の判定基準などの規定などです。

社会保険料や住民税の支払方法の確認が必要

休職前に確認しておくべきことは、休職中の社会保険料の扱いについてです。

というのも、休職中であっても社会保険料の支払い義務は免除となりません。その負担割合は、企業と従業員で半分ずつ折半することと法律で定められています。また、前年度の住民税についても引き続き支払う義務があります。

ただし、休職中に無給となる場合は給与から保険料・住民税を差し引くことができないため、徴収方法を事前に話し合って決める必要があります。例えば未払い分の給与からまとめて徴収する、毎月社員から会社に振り込んでもらう、会社が立て替えておき復職時にまとめて徴収するなどの方法が挙げられます。住民税については、休職した月の翌月10日までに「特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を労働者が住む市町村に提出する必要があります。

まとめ

休職は法律で一律の規定があるわけではないため、従業員とのトラブルを避けるためにも就業規則に適切な定めを置くことが極めて重要です。自院の就業規則の見直しや法的チェックなど、気になる点がありましたらお気軽にご相談ください。

参考:

*1 神奈川県かながわ労働センター 仕事以外の理由による怪我や病気で休職するときは (病気休職・傷病手当金・復職訓練)

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/5081/1805kh31.pdf

*2 Legal-Life Lab.  休職とは?必要な手続きや手当についてくわしく解説

https://www.adire.jp/lega-life-lab/leave148/