この記事でわかること

  • 国民健康保険は、前年の所得に応じて保険料が決定するので、現在の方が高収入の場合、健康保険より保険料が割安になる場合がある。
  • 健康保険では、受けることが出来る給付の多さや、免除制度、事業主による保険料半額負担などがあり従業員にメリットが大きいという声が多い。
  • 医師国保は都道府県によって取り扱いが異なるので、注意が必要。

意外と知らない各保険制度の違いとは?

日本は国民皆保険制度を採用しており、扶養に入る場合を除き、いずれかの医療保険制度に加入しなければなりません。

一つは国民健康保険であり、もう一つは健康保険となりますが、それぞれどのようなメリットがあるのでしょうか。

国民健康保険とは

都道府県及び市町村が保険者となって運営する公的な医療保険です。

一般的には、国民健康保険はフリーランスや自営業者、社会保険が適用されない医院の在職時または医院退職後の医療保険として加入します。

なお、医院によっては医師国保に加入している場合もあります。

医師国保は都道府県ごとに分かれており、加入できるのは地区の医師会などに所属する医師およびその家族、従業員となります。

医師会によって、医師国保の分類や加入基準が異なるので、詳細は所属する医師会に問い合わせておくことが適切です。

健康保険とは

一般的な会社勤めの人が加入するのが「健康保険」です。企業でされている健康保険には、「健康保険組合」と「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の2種類があります。

社会保険加入中の医院の場合、正社員や週30時間以上働くパートの場合、健康保険(協会けんぽまたは健康保険組合)の加入対象となります。

いわゆる被用者保険制度と呼ばれ、厚生年金とセットで加入する最も一般的な制度と言っても過言ではありません。

各保険のメリット・デメリット

国民健康保険のメリット・デメリット

まず、国民健康保険のメリットです。国民健康保険の保険料は前年の所得に応じて決定します。よって、現在の方が高い収入を得ている場合、健康保険よりも保険料が割安になる場合があります。

健康保険の場合は、収入に著しく変動があった場合(固定給が標準報酬月額に換算して2等級以上変動※下図参照)、変動月から4か月目に保険料の額が改定されます。

参照:全国健康保険協会 令和3年度保険料額表(令和3年3月分から)(大阪分)

また、健康保険とは異なり「事業主負担」がありません(後述する医師国保も同様)ので、事業主としての支出は少なく済みます。

反対に国民健康保険のデメリットは、後述する医師国保と同様に扶養親族が増えれば加入者の保険料も増額することです。

医師国保のメリット・デメリット

医師国保のメリットは国民健康保険と比べて保険料が割安なことが多い点です。

デメリットとしては、1人あたりの保険料が決まっていることから給与額が低額な場合、保険料負担が大きい点です。

また、社会保険と異なり、扶養親族が増えれば加入者の保険料も増額します。

健康保険のメリット・デメリット

健康保険のメリットは後述する給付の多さが挙げられます。

健康保険のデメリットは、前述した通り、収入に著しく変動があった場合、年の途中であっても変動月から4か月目に保険料の額が改定されることや、「事業主負担分」として保険料の支出があることです。

産前産後休業・育児休業時の取り扱い

健康保険については、産前産後休業・育児休業期間中は申請することにより、健康保険料(厚生年金分も)が事業主負担分と従業員負担分の双方免除とされます。

また、免除された期間について、年金受取時も保険料を支払ったものと同様に扱われ、従業員の不利益になることはありません。

国民健康保険では、法律上はこのような免除制度はなく、各都道府県・市区町村の規約にもよりますが、多くの場合、健康保険で設けている産前産後休業・育児休業時の保険料免除の取り扱いはありません。

予備知識として、国民年金では、2019年4月以降、産前産後休業期間中の保険料免除が創設されました(育児休業期間中はなし)。

医師国保については、都道府県によっては、事業主の申請により産前産後休業・育児休業期間中の保険料免除の制度があります。

出産手当金・出産育児一時金

健康保険については、出産手当金・出産育児一時金の制度が設けられています。

出産手当金は、産前産後休業期間中に概ね給与相当額の2/3を受給することができます。

出産育児一時金は、妊娠4か月(85日)以上の出産である場合、一児につき42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.8万円(令和3年12月31日以前の出産は40.4万円))が支給されます。

国民健康保険については、出産育児一時金が法定任意給付(条例または規約の定めるところにより特別な理由があるときは全部または一部を給付しないことができる)とされています。

出産手当金は任意給付(条例または規約により給付することができる)とされていることから、健康保険と異なり、支給されない場合が多くあります。

医師国保については都道府県ごとに取り扱いが異なりますので、注意が必要です。

傷病手当金

傷病手当金とは、私傷病による疫病や負傷に起因して継続4日以上働けなくなった場合に支給される手当です。

健康保険では、給与相当額の2/3程度を、支給開始日から通算して1年6ヵ月の間、支給します。

国民健康保険では、出産手当金と同様に任意給付とされていることから、支給されない場合が多くあります。

医師国保も都道府県ごとに取り扱いが異なりますので、注意が必要です。

まとめ

従業員目線では、受けることが出来る給付の多さや、免除制度、事業主による保険料半額負担、扶養親族が増えた場合でもそれが原因で保険料が上がらないことを勘案すると、健康保険の方がメリットは大きいという声があります。

従業員は5名以上の医院や、医療法人の場合はそもそも社会保険(健子保険・厚生年金)の加入対象となります。

さらに詳しく知りたい方や保険関係でお悩みの方は、プロである社会保険労務士へご相談ください。