この記事でわかること

  • 半日単位の有給休暇は労働基準法に規定されていない
  • 導入する場合は、就業規則へ記載することが大切
  • 半日単位の有給休暇を導入する方法

半日単位での年次有給休暇への対応

労働基準法の第39条は、業種、業態にかかわらず、また、雇用形態の区分なく、一定の要件を満たしたすべての労働者に年次有給休暇を与えなければならないと定義されています。
年次有給休暇の付与日数は、勤務年数や、週何回勤務するかなどでそれぞれ違ってきます。

労働基準法にて、年次有給休暇は原則として1労働日単位で与えられるものと解釈されています。
しかし、従業員にとっては、午前中用事があって午後から始業したいということもあるでしょう。

また、「年次有給休暇をとりたいけど、忙しいので丸一日休むと周囲へ迷惑をかけてしまう」と思うこともあるかもしれません。このような時のために、半日単位の年次有給休暇という制度があります。

半日単位の年次有給休暇の定義

まずは、年次有給休暇の基本についてご説明いたします。

年次有給休暇
労働基準法第39条で定義されており、一定期間勤続した従業員が心身の疲労を回復して、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇のこと。
取得した場合、賃金が減額されずに有給で休むことができます。

ゆとりある生活を保障するために、年次有給休暇は1日単位で与えることが原則です。
但し、労使協定を締結することにより、時間単位での年次有給休暇を年に5日を限度として与えることができます。
即ち、年次有給休暇の取得を1時間単位にする場合には、労使協定を締結する必要があると労働基準法に規定されているのです。
これは、数時間程度の用事を済ませるなど、従業員が有効に休暇を利用できるためのものです。
一方、半日単位の年次有給休暇は、労働基準法には規定されていません。
そのため、従業員が希望をして院長が同意すれば、労使協定が締結されていなくても与えることが可能なのです。
また、時間単位での年次有給休暇と異なり付与日数の上限もありません。

医院での半日単位の年次有給休暇の導入

医院で半日単位の年次有給休暇を導入するには、労働基準法で定義されているわけではないため、医院が定めるルールに基づき決定することができます。

半休の導入方法
①半休導入のルールを決める
・医院では、午前診療と午後診療でわかれている場合が多いため、その基準で半日単位の年次有給休暇を導入するのがスムーズでしょう。
②半休導入のルールを従業員に周知する
・ルールが定まったら、全従業員へ内容を周知しましょう。

もちろん、半日単位の年次有給休暇を導入する義務はないため、制度を導入しなくてもまったく問題はありません。

半日単位の年次有給休暇を就業規則へ記載する

半日単位の年次有給休暇は、労働基準法に定義されていないため、導入するには就業規則へ記載することでルール化することが大切です。

例えば、以下のようなルールが考えられますが、どのルールを選択するかは医院の自由です。

①診療時間を基準としての半日単位の年次有給休暇

例えば、午前中の診察が9時から12時までの3時間、午後の診察が13時から18時までの5時間だったとします。
この場合の前半の半日単位の年次有給休暇は3時間、後半は5時間になり不公平にはなますが、就業規則にルールとして記載することで医院のルールとして決められたことになるのです。
医院の場合は、午前診療と午後診療と分かれていることが多いため、現実的なルールと考えられます。

②所定労働時間を基準としての半日単位の年次有給休暇

例えば、上記の医院の始業時間が9時、終業時間が18時、休憩時間が1時間、所定労働時間が8時間だったとします。
この場合、半日単位の年次有給休暇の取得方法を上記の診療時間を基準とする場合には、前半と後半で時間に不公平が生じます。
そのため、所定労働時間の8時間を半分の4時間ずつにして、前半を9時から13時、後半を14時から18時として就業規則に記載することになります。

労働時間が4時間の場合は休憩時間を与える必要はありませんが、1時間の休暇を設けて前半を9時から14時(休憩時間1時間)、後半を13時から18時(休憩時間1時間)とすることも可能です。
半日単位の年次有給休暇をどのようなルールで導入するにせよ、後々で問題にならないように、明確に就業規則に記載しておくことがとても重要になります。

就業規則を変更する際は注意が必要

半日単位の年次有給休暇を導入するには就業規則へ記載することが大切ですが、導入にあたって就業規則を変更する場合には注意しなければならないことがあります。

労働契約法第9条において、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」とされているのです。

即ち、就業規則を変更して年次有給休暇などの労働条件を変更する場合に、従業員の意思に反して一方的に労働条件を変えることは、不利益変更に当たる可能性があるということです。

半日単位の年次有給休暇の導入は、従業員にとって不利益になることではないのですが、それぞれの立場によって違ってくるケースも考えられます。
半日単位の年次有給休暇導入のために就業規則を変更する場合は、一方的に労働条件を変えるのではなく、従業員と十分に合意をしてから行うことが重要になります。

半日単位の年次有給休暇を就業規則に取り入れる際の文例

以下は、半日単位の年次有給休暇を導入する場合の就業規則に記載する文例です。
パート・アルバイトに半日単位の年次有給休暇を与えるためには、パート・アルバイト用の就業規則に半日単位の有給休暇を取得できることを記載する必要があります。

(半日単位の年次有給休暇)
第ーー条
従業員は、半日単位で年次有給休暇を取得することができる。
半日単位の年次有給休暇の始業時間、終業時間は、以下のとおりとする。
①前半休:13時〜18時(年次有給休暇部分:9時〜12時)
②後半休:9時〜12時(年次有給休暇部分:13時〜18時)

まとめ

午前診療と午後診療でわかれている医院にとって、半日単位の年次有給休暇は従業員にとって優しい制度です。半日単位の年次有給休暇を導入することにより従業員は喜びますが、管理は大変になりますので担当者等の負担が増すことになります。

半日単位の年次有給休暇を導入を考えている医院は、是非一度、プロである社会保険労務士にお気軽にお問い合わせください。

参考:
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 改正労働基準法のあらまし
https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l.pdf